改正派遣法と派遣労働者の現状
2015/03/23
政府は派遣法を改正し雇用期間を原則1年、最大で3年とする改正派遣法の成立を目指しています。そこには一般的に曖昧な派遣労働者の雇用実態が背景にあるようですね。
派遣労働者の仕事とは
派遣労働者は大きくみると雇用期間の制限のない「専門26業種」とそれに含まれない業種でのすみ分けとなっています。
「専門26業種」とはあまり馴染みのない言葉なんですが、確かにその言葉通りかなり専門的な分野に属する仕事内容となっています。一つ例を挙げるとコンピューターのシステム設計。つまりプログラマーのことですね。こんな感じである専門知識を身につけた人がこのような業務に従事されています。
それでは、何故、昨今派遣法を改正しようとする動きが活発なのか?それはこの法律があまりにも現実離れしたザル法だからです。先ほどのプログラマーを例にとります。目の前の電話が鳴ったとします。普通ならば電話、とりますよね?とらないほうがどうかしていると思われます。
ところが現行の派遣法だとこの電話をとる行為は違法となり無期限の派遣労働者とは見なされなくなるというわけなのです。だからこういった専門業務の枠を取っ払って一律、原則1年。最大で3年という期限を設けようとしているのです。
派遣労働者の実態
でもなんだかここまで聞いてもしっくりしません。そんな面倒くさいことをするならば派遣で働くより別の形態で働けばいいではないか?と思ってしまいます。実際、私もそう思います。何も派遣労働にこだわる必要性はないのでないかと。
そこで現状の日本の全雇用労働者の割合を見てみますと
正社員(正規雇用) 65% 3374万人
非正規雇用 35% 1805万人
このうち非正規雇用者の内訳は
パート・アルバイトで24% 1250万人
契約社員・嘱託社員で6・6% 337万人
派遣社員で2% 90万人
となっています。
その90万人のうち3~4割の人が正社員雇用されています。となると固定化された派遣労働者というのは実質10数万人規模という事がいえるのです。なんだ、割合で見れば全労働者のうちの0・02程度の数しかしないんですね。ちょっと拍子抜けした感じです。
日本における派遣労働者の意義
私は派遣社員として業務に携わっている方はもっと多いと思っていました。しかし、この数字だけみていればさほど深刻な事態ではないのかな?とも思ってしまいます。派遣は自分自身が持っているスキルやキャリアを時間で区切って対価を得る働き方だと思っています。
当然、そこには企業側のコスト削減が絡んでいることもわかります。それだったならなアウトソーシング型の業務請負契約で仕事を行ったほうが働き手にとってはよっぽど安定感もありますし先行きの心配も少ないと思うのですが。ただ、10数万人に該当する方達の働き方に対する価値観は尊重されなければなりません。現に日本に派遣という労働の姿がしっかりとあるのですから彼らの働き場所を脅かすような法改正はどんなものなのでしょうか?
例えば、専門26業務の一つに入っている職業に「秘書」があります。かつては秘書という職務は花形で多くの女性が憧れた仕事の一つなのでしょう。各企業は派遣斡旋会社よりこぞって秘書さんを雇用したと思います。「秘書」という職務は会社の顔になります。本来のその会社の業務から離れた感じもするような抜擢をやってきました。「秘書」という役割だけをやってもらうために。
しかし、不況の何が押し寄せるとどこの企業もそういった派遣社員の使い道を大幅に変更させ始めます。何せ「秘書」の業務以外をやらせたら法律違反となり雇用している企業に罰則が行くのですから。
派遣労働者は生き残るのか?
現在の日本の有効求人倍率は1倍をわずかに超えています。つまり選り好みさえしなければ何らかの職に就けると言うことです。製造業や接客業の現場を中心に人手不足が続いています。しかし、派遣の道で仕事をしていく人が減ることはありません。いくら人手不足の仕事があるからといって給料が高いわけではないからです。
同じ額をもらうのであれば誰だってやり慣れた楽な方を選びます。リスクを冒してまでキツイ仕事は選ばないでしょう。よって、派遣労働という選択肢が日本から消えてしまうとい事はまだまだなさそうです。ただ、派遣社員として働く事に対する不安感は拭えません。例え、計約期間中は好条件で働けたとしても期限がくれば終わりです。その後の雇用の保証はありません。
ここが法改正を急ごうとする国と派遣の現場で働く人たちとの意見の分かれ道となるのでしょう。
改正派遣法と派遣労働者の現状 まとめ
現在のように働き方も多種多様化してくれば派遣という働き方も当然、変革が求められるでしょう。有期で区切るだけが派遣での労働のメリットではないと思います。しかし、時代の流れの中で派遣社員として働くという道を太くしていくのは苦しそうな展開だと思います。
では、派遣業自体どうなっていくのでしょう?それは今後の動きを見つめるしかありません。時代と共に淘汰されるのか社会の要望として生き残るのか。全て私たちのこれからの選択次第です。
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